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8cm 副砲 補助スロット 日本の要人警護の不備が露呈した安倍晋三元首相の銃撃事件は1月8日で発生から半年。警察庁は要人警護の制度を大幅に改め、人員の増強や研修の体系化などを進めてきた。2023年は統一地方選や広島での先進7カ国首脳会議（G7サミット）もある。警護の体制強化や高度化に伴い、人材育成の強化が課題となっている。
全国で情報共有
新たな警護要則に基づき、警察庁が事前審査した全国警察の警護計画は約4カ月で約1300件。閣僚が週末に地元に帰って会合や行事などに出席するケースや選挙の応援演説などの警護が各地で行われた。
警察庁は全ての警護で、都道府県警と情報収集や分析などをし、都道府県警が作成した警護計画を審査。修正点があれば都道府県警に伝えられ、修正後、再度警察庁が報告を受ける。警護終了後も結果をすぐに報告するという。
当初、審査でほとんどが修正対象に。現場での警護員や警察官の配置、要人が避難するための動線確保や資機材の活用方法などが修正されたが、改善傾向にあるという。警護終了後、都道府県警からの報告で、重大事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」事例を警察庁が全国の警察で情報を共有。警察庁幹部は「全国で起こりうる事案は積極的に共有する」とする。
審査に当たるため、警察庁はこれまで10人弱だった警護に関する業務の担当者を約30人に増やした。
スキルに地域格差
行き先地の身辺警護体制の増強や道府県警に派遣する警視庁の警護員（SP）の増員など、現場に動員する警察官の数は増えた。
ただ、都道府県間で警護に当たる回数に差が出るのは否めない。首都を管轄する警視庁を中心に閣僚や党幹部などが多い都道府県警は警護の経験値を積むことができるが、そうでない警察もある。
警察庁も警護スキルの都道府県格差の解消が今後の課題だとする。そのため、警護に関する教養訓練を体系化。警護のレベルに応じて教養を受け、受けていない場合は警護に関わる担当には配置しないように、教養と任用を紐（ひも）づけた。
各道府県警から警視庁に派遣し、警護現場で行っていた研修も年1回から2回に増やし、現場経験のある人材を増やす取り組みを始めた。若手が主体で、今後中核となるような人材を増やしていくのが狙いだ。
事件では、現場に制服警察官が一人も配置されていなかったことも問題視された。制服警察官は、「見せる警備」で周辺を警戒し、犯行を抑止する効果もある。警察庁は制服警察官の配置など重層的な対応を指示している。
事件当時は現場の指揮体制や情報共有が不十分だったことも明らかになった。今後は、現場で撮影した映像を幹部らがいる指揮本部に送り、リアルタイムで指揮を執る体制も徹底するとしている。
警察庁幹部は「染みついているやり方の意識改革を含めて変えていかなければならない」と強調した。
ドローンで全体把握
警察庁は事件の教訓を踏まえ、要人警護にドローンや人工知能（AI）、3D画像技術の活用などを進める。警護員の技術向上に加え、最新の装備を活用し、警護体制の強化を図る。
警察庁が2022年公表した事件の検証結果によると、事件当時、安倍晋三元首相の後方に警護の「空白」が生じた。今後導入する警護用ドローンは上空から現場全体を見渡せ、地上から全体像を把握するのが難しい現場でも、警護対象者への接近や不審な動きを察知できるようになる。映像は警察本部などで確認する。
AIを使いカメラ映像から武器を取り出すなどの異常行動を検知するシステムを実証実験し、実用化を目指す。警護計画案の検証には、現場の建物や道路状況を3D画像技術で立体的に再現して映し出す新たなシステムも導入する。
警察庁は、警護対象者の周囲に置く防弾用資機材やドローンの導入費用など22年度の補正予算案に21億3100万円を計上。23年度当初予算の概算要求に含めていたが、前倒しして導入を急ぐ。外国製品が主となるため、当面は既存の資機材を活用するとし、警察庁は「できるだけ早く運用したい」としている。（大渡美咲）
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